看護系の大学入試では、小論文で「看護の本質」や「看護師の使命」に関するテーマが頻繁に出題されます。この記事では、具体的なテーマごとに600~800字程度で掘り下げ、例題の解答例を紹介します。合格を目指す方は、これらの例を参考にしてみてくださいね。
1. あなたが考える看護の本質とは何か
看護の本質とは、単に医療技術を提供するだけでなく、「患者に寄り添い、心と身体の両面を支えること」にあると考えます。患者が病気や障害を抱えると、身体的な苦痛だけでなく、精神的・社会的な不安にも直面します。そのため、看護師には「心のケア」を含む包括的なサポートが求められます。具体的には、患者一人ひとりの感情や価値観を尊重し、その人の視点に立って接する姿勢が重要です。
たとえば、患者が入院中に孤独や不安を感じている場合、看護師が「傾聴」の姿勢を示し、寄り添うことで心の支えになります。また、単なる治療のサポートに留まらず、患者の「生活の質」を高めるためのアプローチも看護の重要な役割です。食事の介助や日常生活動作の支援、退院後の生活の準備など、患者が社会に戻るための支援が欠かせません。
さらに、看護は患者だけでなく、その家族もケアの対象に含まれます。家族の心配やストレスを和らげ、医療者としての知識を提供することで、安心感を与えることが求められます。家族へのケアが患者の精神面にも好影響を与えることは多くの研究で示されています。これにより、家族と看護師との信頼関係も強化され、より良いケアを実現することができます。このように、看護は技術だけでなく、患者や家族に共感し、心の交流を通じて安心と希望を提供することが本質といえます。
2. 看護師に必要な倫理観とは何か
看護師にとって必要な倫理観は、患者の人権を尊重し、信頼関係を築くことを基盤としています。その中心には、「守秘義務」と「患者の自己決定権の尊重」があります。患者のプライバシーを守ることは、看護師としての基本的な責任であり、医療現場においては絶対に欠かせません。
具体的な例として、患者の病状や個人情報を他者に漏らさないことが挙げられます。看護師は、同僚や他職種のスタッフとの情報共有が必要な場面でも、患者の同意を得たうえで行うべきです。また、インフォームド・コンセント(説明と同意)に基づき、患者が自らの治療方法を選択できるよう、十分な情報を提供することが求められます。患者の同意なく治療が進められることは、信頼関係を損なう原因となり、患者の安心感を奪います。
さらに、看護師は倫理的な判断が求められる場面に直面することが多くあります。たとえば、痛みを伴う治療を避けたいと患者が意思表示した場合、その希望をどのように扱うかは難しい判断です。看護師は治療方針を医学的にサポートするだけでなく、患者の意向を最大限に尊重し、その選択を支える役割を担います。患者が安心して治療に臨める環境を提供することこそ、看護師の倫理観に基づく行動です。このように、守秘義務や患者の自己決定を尊重する倫理観が不可欠です。信頼関係を築くことによって、患者が治療に前向きになれる環境を整えることができます。
3. 「ケアの心」とはどのようなものか、具体的に述べなさい
「ケアの心」とは、患者の身体的ケアだけでなく、その心に寄り添い、感情や生活の質を支えることを指します。ケアは、患者一人ひとりのニーズに応じた個別対応を行うことであり、単なる業務の遂行ではなく、患者を「人」として尊重し、共感を持って接することが重要です。
たとえば、入院中の高齢患者が寂しさや不安を抱えている場合、看護師が日常会話を通じてコミュニケーションを取ることがケアの一環となります。こうした小さな心の交流が、患者の気持ちを支え、回復を促します。また、ターミナルケア(終末期ケア)の現場では、患者の苦痛を和らげるだけでなく、最後の瞬間まで尊厳を持って過ごせるように配慮することが「ケアの心」の具体例です。
さらに、家族へのケアも重要な要素です。たとえば、小児病棟で親が不安を抱えている場合、看護師が子どもの病状について丁寧に説明することで、家族に安心感を与えます。家族の不安が解消されることで、患者自身も精神的な安定を得ることができます。看護師が家族と一体となって患者を支えることは、ケアの質を高めるうえで欠かせない要素です。
また、看護師が他職種と連携する場面でも「ケアの心」が生かされます。医師やリハビリスタッフと協力し、患者に最適なケアを提供することで、患者の回復を促進します。このように、ケアの心とは、患者とその家族の感情に寄り添い、人間としての尊厳を尊重することです。技術的なケアだけでなく、相手の心に触れることが看護の大切な使命であり、看護師の行動全体に反映されるべきものです。
まとめ
今回は「看護の本質と使命」に関するテーマに焦点を当てて小論文の具体例を紹介しました。これらのテーマは看護系大学入試で頻繁に出題されるため、十分な準備が必要です。例文を参考にしながら、自分の考えを深め、自分なりの言葉で表現できるように練習しましょう。