患者の急変時の評価と判断
患者の急変時には、迅速かつ的確な評価と判断が求められます。生命維持の仕組みに沿って「気道」「呼吸」「循環」「中枢神経」を評価することが重要です。各段階で異常が見られる場合は、その緊急度を判断し、必要な対応を即座に行います。
気道(Airway)
- 気道の確保が最優先事項です。異物が詰まっている場合は直ちに除去し、気道が閉塞している場合は適切な体位の調整や気管挿管を検討します。
呼吸(Breathing)
- 呼吸困難がある場合、酸素投与や補助呼吸を行い、必要に応じてBVM(バッグバルブマスク)を使用します。原因が肺炎、心不全、その他の疾患であれ、まずは呼吸状態の安定化を図ります。
循環(Circulation)
- 循環不全が見られる場合、心拍数、血圧、末梢の循環状態を評価し、必要な薬剤投与や輸液を行います。ショックの兆候がある場合は直ちに対応を開始します。
中枢神経(Dysfunction of central nervous system )
- 意識レベルの低下が見られる場合、迅速に評価し、原因を特定するための検査を行います。必要に応じて脳の保護を考慮します。
急変時の具体的な対応例
呼吸困難の例
突然の呼吸困難を訴える患者がいる場合、以下の手順で対応します。
- 気道の確認
- 気道が確保されているか確認し、閉塞がないかチェックします。
- 呼吸の評価
- 呼吸数、呼吸の質、酸素飽和度を確認します。異常があれば、酸素投与を行います。
- 循環の評価
- 心拍数、血圧、末梢の循環状態をチェックし、必要な処置を行います。
- 中枢神経の評価
- 意識レベルを確認し、意識障害があれば迅速に対応します。
- 原因の特定と治療
- 肺炎、心不全などの原因を特定し、必要な治療を開始します。検査結果を待つ間も、生命維持のための介入を続けます。
急変の予兆と早期対応
院内心停止は心停止の6~8時間前に何らかの異常が認められると言われています。このため、急変の予兆を見逃さず、早期に対応することが患者の生命を守るために非常に重要です。
代償機転とショックの分類
代償機転が働いている間は状態の変化は緩やかですが、代償機転が破綻すると、そこから心停止まで状態は急激に変化します。これを以下のように分類します。
- 早期ショック(代償性ショック)
- 初期段階では、代償機転が働き、血圧低下や意識レベルの急激な悪化は見られず、頻脈や末梢の皮膚の冷感・湿潤、CRT(毛細血管再充満時間)の延長などが見られます。この段階での対応が重要です。
- 晩期ショック(低血圧性ショック)
- 代償機転が破綻すると、急激に血圧低下・意識レベルの低下、呼吸状態の悪化が見られます。この段階では迅速かつ積極的な介入が必要です。
まとめ
急変時の対応は、迅速かつ的確な評価と判断が求められます。患者の生命維持の仕組みに沿った「気道」「呼吸」「循環」「中枢神経」の評価を行い、緊急度に応じた対応を行うことで、患者の生命を守ることができます。看護師として、常に冷静な判断と迅速な対応を心掛けましょう。
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