はじめに
こんにちは、今日はせん妄についてお話しします!せん妄は、高齢者や病気、手術後の患者によく見られる一過性の意識障害です。
この記事では、せん妄の原因や症状、予防法などをわかりやすく解説します。みんなで安心して対処できるように、一緒に学んでいきましょう。
せん妄とは?(わかりやすく解説)
せん妄は、高齢者や病気、手術後の患者に多く見られる一過性の意識障害です。突然発症し、時間や場所の見当識障害、幻覚、妄想、興奮、不安などの症状が現れることが特徴です。これらの症状は、病気や薬の影響、環境の変化が原因となることが多く、適切な治療とケアが求められます。
せん妄の原因やリスク要因
せん妄の主な原因には、以下のようなものがあります。
- 病気:感染症、脳卒中、心臓病など。
- 薬物:特定の薬物やその相互作用。
- 環境の変化:入院や手術後のストレス。
- 高齢者:特に認知症や他の認知機能障害を持つ高齢者はリスクが高いです。
これらの要因が神経伝達物質のバランスを崩し、せん妄を引き起こします。
せん妄の症状や兆候
せん妄には以下のような症状があります。
- 見当識障害(時間や場所がわからなくなる)
- 幻覚や妄想(見えないものが見える、いない人がいると信じ込む)
- 興奮や不安、暴力的な行動
- 精神状態の急激な変動(活動的になる、無気力になる)
特に夕方から夜にかけて症状が悪化することが多いです。
せん妄の予防と早期発見のための看護ケア
せん妄を予防するためには、リスク因子を早期に確認することが重要です。入院時にせん妄リスク因子を確認し、ハイリスク患者を特定して予防的ケアを行います。
情報収集・アセスメント
- 入院前の患者の生活や活動レベル、性格、病気に対する不安などを把握します。
- リスク因子の確認のためのチェックリストを使用します。
- 例:70歳以上、脳器質的障害、認知症、アルコール多飲、せん妄の既往、リスクとなる薬剤、全身麻酔の手術。
せん妄アセスメントツールを使用して評価・観察する
ICDSC、CAM-ICU、DSTなどのアセスメントツールを使用してせん妄を評価します。せん妄を早期に発見し、早期回復や合併症の予防につなげることが重要です。
せん妄を予防するための看護ケアを実施する
ハイリスク患者に対する対策のためのチェックリストを作成し、運用します。
- 環境的・支持的介入:患者が慣れ親しんだ環境を作り、過剰な刺激を少なくし、適切なレベルの環境刺激を提供します。
- 早期離床と運動:早期からの積極的な離床や運動を実施します。
- 安全の確保:転倒・転落防止対策、輸液ルートなどの事故・自己抜去防止対策を行います。
せん妄患者への看護介入を実施し、評価する
せん妄患者に対しては、環境的・支持的介入、疼痛管理、不安の軽減、家族へのケアを行います。
- 安全の確保:転倒・転落防止対策、輸液ルートの事故・自己抜去防止対策を徹底します。
実施内容と結果をカルテに記録する
せん妄状態の評価や診断補助の根拠となり、医療従事者間の認識を統一するために記録を行います。
せん妄についてのケースレポート
注意事項
このケースレポートは架空の患者を基にしており、教育目的で記述されています。実際の臨床現場での症例とは異なることにご留意ください。
患者概要
氏名:山田 太郎(架空の患者)
年齢:78歳
性別:男性
職業:退職者(元教師)
既往歴:高血圧、糖尿病、軽度の認知症
背景情報
山田太郎さんは、軽度の認知症を抱えながらも自宅で独居生活を送っていました。ある日、転倒による大腿骨頸部骨折で入院しました。手術は成功しましたが、その後の経過観察中に異常行動が見られるようになりました。
症状の経過
入院2日目:
- 手術翌日、太郎さんは軽度の見当識障害を示し、時間や場所がわからなくなることがありました。
- 観察:ナースコールを頻繁に押し、「ここはどこですか?」と尋ねる。時計やカレンダーを見ても時間を認識できない。
入院4日目:
- 夕方になると、幻覚(部屋に誰かがいると訴える)や幻視(窓の外に見えないものが見える)が見られました。
- 観察:病室の角を指さし、「あそこに誰かいる」と言い張る。実際には誰もいない。
- 夜間、突然大声を出し、暴れ出すことがありました。
- 観察:ベッドから起き上がり、無目的に部屋を歩き回り、看護師に対して攻撃的な言動をする。
入院6日目:
- 日中は非常に無気力で、ほとんど話さず、食事量も減少。
- 観察:食事トレイに手をつけず、ほとんど寝たままの状態。問いかけにも反応が鈍い。
- 夜間は再び興奮状態になり、看護師に暴言を吐くこともありました。
- 観察:夜間の見回り中に大声で叫び、看護師を叩こうとする。
診断
診断名:せん妄
診断基準:
- 急性の発症(数日間での症状の出現)
- 意識レベルの変動(昼と夜での活動性の違い)
- 幻覚や見当識障害、妄想
原因とリスク要因
- 高齢者:認知症の既往歴あり
- 手術と入院:環境の変化と身体的ストレス
- 薬物の影響:術後の鎮痛
治療と管理
環境の調整:
- 病室にカレンダーや時計を設置し、時間の感覚を取り戻すサポートを行いました。
- 実施:カレンダーをベッドサイドに設置し、看護師が毎朝日付を確認するよう促しました。
- 可能な限り家族との面会を増やし、慣れ親しんだ人々との交流を促しました。
- 実施:家族に面会時間を延長してもらい、できるだけ太郎さんのそばにいてもらいました。
薬物療法:
- 幻覚や妄想に対しては、抗精神病薬のリスパダール(リスペリドン)を処方しました。
- 投薬:リスパダール1mgを朝夕2回投与。
- 夜間の興奮状態には、軽度の鎮静剤を使用しましたが、過度の鎮静を避けるために注意を払いながら管理しました。
- 投薬:就寝前にハロペリドール0.5mgを追加投与しました。
コミュニケーション:
- 太郎さんに対しては、静かなトーンで話しかけ、安心感を与えるよう努めました。
- 実施:看護師が穏やかな声で、太郎さんの目を見て話しかけました。「ここは病院です。今日は何曜日かわかりますか?」などの簡単な質問を繰り返しました。
- 時間や場所の説明を繰り返し行い、見当識障害を軽減するよう心掛けました。
- 実施:毎朝と毎晩、看護師が「今日は〇月〇日です。ここは〇〇病院です。」と説明しました。
経過と予後
入院10日目:
- 症状は徐々に改善し、日中の活動性が増し、夜間の興奮も軽減しました。
- 観察:日中はテレビを見たり、家族と会話をするようになり、夜間は比較的安定して眠るようになりました。
- 幻覚や見当識障害は残るものの、以前よりも頻度が減少しました。
退院後のフォローアップ:
- 家族に対してせん妄の症状とその対応方法を説明し、在宅ケアのサポートを依頼。
- 指導:家族に対して、せん妄の兆候が見られた場合の対応方法(穏やかに話しかける、環境を整える)を説明しました。
- 定期的なフォローアップを行い、再発防止に努めることとしました。
このケースレポートは架空の患者を基にしており、せん妄に対する理解とその対応方法について具体的に示すことを目的としています。患者ごとに異なる状況に応じた対応が必要です\(^o^)/