はじめに
看護師として働く皆さん、特に新人の方々にとって、急変対応は非常にストレスフルで緊張する瞬間だと思います。本シリーズでは、病院内でのさまざまな急変事例に対する対応方法をシミュレーション形式で解説していきます。
この記事では、重篤な出血が発生した場合の具体的な対応方法について、わかりやすく説明します。私も新人の頃、同じように緊張しながら対応していたことを覚えています。皆さんが自信を持って対応できるよう、少しでもお役に立てれば幸いです。
重篤な出血の初期兆候
重篤な出血の初期兆候を認識することは、迅速な対応の第一歩です。以下の兆候に注意しましょう。
- 出血が止まらない
- 血圧の低下
- 脈拍の増加
- 顔色不良や冷汗
- 意識低下や失神
初期対応の手順
重篤な出血が疑われる場合、迅速な対応が必要です。以下の手順を守りながら対応しましょう。
1. 安全確認
現場の安全を確認し、周囲の状況を把握します。
2. 反応の確認
患者に声をかけたり、肩を叩いたりして反応を確認します。
3. 助けを呼ぶ
反応がない場合、すぐに他のスタッフに助けを求め、コード・ブルーを宣言します。
4. 出血部位の圧迫
出血部位を圧迫して止血を試みます。
5. 血圧の測定とモニタリング
血圧を測定し、モニタリングを開始します。
6. 医師への報告
患者の状態を医師に報告し、指示を仰ぎます。
7. 輸液・輸血の準備
医師の指示のもと、輸液や輸血の準備を行います。
8. 血液検査
必要に応じて血液検査を行い、血液型や凝固機能を確認します。
ケーススタディ: 病院内での迅速な対応による救命事例
ケース: 50歳男性、手術後に重篤な出血を発症
- 発見: 患者が手術後の病室で大量出血を起こしました。
- 初期対応: 新人看護師Dさんが患者の反応を確認し、助けを呼びました。先輩看護師がコード・ブルーを宣言しました。
- 出血部位の圧迫: Dさんは直ちに出血部位を圧迫し、止血を試みました。
- 血圧の測定とモニタリング: 血圧を測定し、モニタリングを開始しました。
- 医師への報告: Dさんは患者の状態を医師に報告し、指示を仰ぎました。
- 輸液・輸血の準備: 医師の指示のもと、輸液や輸血の準備を行いました。
- 血液検査: 必要に応じて血液検査を行い、血液型や凝固機能を確認しました。
- 結果: 患者は迅速な対応により安定し、経過観察のために集中治療室に移されました。
指導者のためのチェックリスト
目的: 新人看護師が重篤な出血時の対応手順を正確に理解し、実践できることを確認するためのチェックリスト。
チェック項目 | 確認の有無 |
---|---|
安全確認 | |
現場の安全を確認したか? | |
周囲の状況を把握したか? | |
反応の確認 | |
患者に声をかけたり、肩を叩いたりして反応を確認したか? | |
助けを呼ぶ | |
反応がない場合、他のスタッフに助けを求めたか? | |
コード・ブルーを宣言したか? | |
出血部位の圧迫 | |
出血部位を圧迫して止血を試みたか? | |
血圧の測定とモニタリング | |
血圧を測定し、モニタリングを開始したか? | |
医師への報告 | |
患者の状態を医師に報告し、指示を仰いだか? | |
輸液・輸血の準備 | |
医師の指示のもと、輸液や輸血の準備を行ったか? | |
血液検査 | |
必要に応じて血液検査を行い、血液型や凝固機能を確認したか? | |
コミュニケーション | |
チームメンバーと適切にコミュニケーションを取ったか? | |
状況報告や指示が明確だったか? | |
自己評価 | |
自身の対応を振り返り、改善点を見つけることができたか? | |
フォローアップ | |
患者の回復後の経過をモニタリングし、必要なケアを提供したか? |
ショックの重症度判断基準
重篤な出血時のショックの重症度判断に役立つ基準として、以下の表を参考にしてください(出典:急性期ケア専門士公式テキスト)。
Class | 循環血液量欠乏量 | 出血量 | ショック指数 | 尿閉量 | 臨床症状 |
---|---|---|---|---|---|
Class I | 10〜15% | 500〜750mL | 1.0〜1.5 | 40〜50mL | 無症状、眩暈 |
Class II | 15〜30% | 750〜1,500mL | 1.5〜2.0 | 30〜40mL | 冷汗、冷感、眩暈、口渇 |
Class III | 30〜45% | 1,500〜2,250mL | 2.0以上 | 10〜20mL | 脈拍(100〜120回/分)頻脈、血圧(80〜100mmHg)血圧低下、チアノーゼ |
Class IV | 45%以上 | 2,250mL以上 | 2.0以上 | 0〜10mL | 脈拍(100〜120回/分)頻脈、血圧(80〜100mmHg)血圧低下、チアノーゼ、意識障害、昏睡 |
まとめ
重篤な出血時の迅速な対応は患者の命を救うために極めて重要です。新人看護師として、初期対応の手順をしっかりと身につけ、緊急時に冷静に対応できるように準備をしておきましょう。定期的なシミュレーショントレーニングを通じてスキルを磨き、実際の現場で役立ててください。
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